このページはPR・広告を含みます
排出権付きリースでCO2をオフセット、ヒートポンプ普及を後押しする新スキームを解説

HEAT PUMP SERVICE / FIELD GUIDE

排出権付きリースでCO2をオフセット、ヒートポンプ普及を後押しする新スキームを解説

三井住友ファイナンス&リースと三浦工業が、ヒートポンプなど省エネ設備を対象にJ-クレジットでリース期間中のCO2排出量を相殺する業務協定を締結した。初期投資や事務負担を抑えつつ脱炭素化を進められる新スキームの仕組みと、導入企業が検討すべき実務上のポイントを解説する。

公開日 |読了目安 5分

三井住友ファイナンス&リースと三浦工業が、ヒートポンプなど省エネ設備を対象にJ-クレジットでリース期間中のCO2排出量を相殺する業務協定を締結した。初期投資や事務負担を抑えつつ脱炭素化を進められる新スキームの仕組みと、導入企業が検討すべき実務上のポイントを解説する。

ニュースの概要

三井住友ファイナンス&リースと三浦工業は、ヒートポンプなどの設備リースにJ-クレジット(=国が認証するCO2削減量の証書)を組み合わせる業務協定を結んだ。リース契約期間中に見込まれるCO2排出量をあらかじめ算定し、用途に応じて選んだクレジットで相殺する仕組みだ。導入企業は追加の設備投資や煩雑な事務手続きをせずに、リース契約を結ぶだけで脱炭素化の取り組みを始められる。省エネ機器の導入障壁を下げることで、ヒートポンプをはじめとする設備の普及を加速させる狙いがある。リース会社が脱炭素支援に乗り出す動きは今後も広がるとみられ、中小企業の環境対応を後押しする新たな選択肢として注目される。

引用元: 排出権付リースでヒートポンプなど対象製品のCO2をオフセットへ(Jiji Press)

分析・見解

リース契約に算定済みCO2排出量を組み込むという発想

三井住友ファイナンス&リースと三浦工業の協定で興味深いのは、CO2排出量の相殺(=オフセット、排出した分を他で埋め合わせること)をオプションではなく、リース契約の枠組みに最初から組み込んだ点だ。これまでも企業が自主的にJ-クレジットを購入してCO2排出量を相殺する例はあったが、多くは別契約・別予算の取り組みとして扱われ、担当部署も設備調達とは別の環境部門が動くケースが多かった。今回のスキームでは、リース期間中に想定される排出量をあらかじめ算定し、月々のリース料に組み込む形で相殺分を調達できる。設備調達の意思決定プロセスの中に脱炭素対応を内製化させた点が、従来の環境配慮型リース(グリーンリース)と一線を画す。

ヒートポンプメーカーが当事者になった意味は大きい

もう一つの注目点は、相手がヒートポンプやボイラーを手掛ける三浦工業である点だ。リース会社単独の取り組みであれば、どの設備にも後付けできる汎用サービスにとどまる。しかしメーカーが加わることで、燃焼式ボイラーからヒートポンプへの切り替えを検討する企業に対し、設備選定・資金調達・CO2相殺を一体で提案できるようになる。工場やホテル、病院などで使われる業務用熱源機器は入れ替えサイクルが10年以上と長く、更新のタイミングを逃すと古い高排出設備が使われ続けてしまう。導入のハードルをまとめて下げる仕掛けとして、更新サイクルの前倒しを狙った布石と見てよい。

J-クレジットの信頼性が効いている

相殺に使うクレジットが国の制度であるJ-クレジットである点も実務上は軽視できない。海外のボランタリークレジット(=民間団体が認証する自主的なCO2クレジット、VCSやGold Standardなど)は森林保全プロジェクトの排出削減効果が過大評価されていたとする報道が相次ぎ、企業が調達した分が開示のタイミングで批判対象になるリスクを抱えていた。J-クレジットは国が認証し、プロジェクトの大半が国内の森林整備や省エネ設備導入など追跡可能な実施実績を伴う。価格はトンあたり数千円で推移し国際的なボランタリー市場より割高な場面もあるが、説明責任を果たしやすいという点で企業にとっての使い勝手は良い。

価格変動と調達規模のミスマッチが次の課題になる

一方でJ-クレジットの取引価格は需給で変動し、森林由来や省エネ由来など種別によっても差がある。リース料に組み込む設計である以上、契約期間中の価格変動リスクをリース会社側が吸収するのか、一定の前提で固定するのかによって、企業が負担するコストは変わってくる。今回の発表では価格の固定方式までは明らかになっていないが、ここが曖昧なままだと「相殺した気になっているが実際の削減貢献は限定的」という批判を招きかねない。制度設計の透明性が、この種のスキームが他の設備分野へ広がるかどうかを左右するだろう。

ビジネスへの影響

設備更新を検討する企業が確認すべき3つのポイント

このスキームを使う企業側が最初に確認すべきは、相殺に使われるJ-クレジットが実際に無効化(=他社に転売できない状態にして使用済みとして処理すること)されるかどうかだ。無効化されていなければ、オフセットを主張しても第三者の目には「使ったことにならない」と映りかねない。次に、リース料のうちクレジット調達分がいくらを占めるのか内訳を開示してもらうこと。最後に、相殺した排出量を自社の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度(SHK制度)でどう扱えるのか、Scope1・2(=自社が直接・間接に排出する温室効果ガスの量)の削減実績として計上できるのか、それとも別枠のオフセット実績として扱うのかを事前にすり合わせておく必要がある。この整理を怠ると、後から開示内容の訂正を迫られる恐れがある。

リース会計基準の見直しと重なるタイミング

日本でも2027年3月期から新しいリース会計基準の適用が始まり、これまで賃借料として費用処理していたオペレーティングリースも含めて、原則すべてのリースが貸借対照表に資産・負債として計上されるようになる。CO2相殺サービスがリース料に組み込まれた契約は、設備本体の賃借料と付随サービス費用の区分がこれまで以上に問われる可能性がある。経理担当者は、契約書の段階でサービス対価の内訳を明確にしておくことが望ましい。

他のリース会社・設備分野への波及を見据えた調達戦略

オリックスや東京センチュリーなど大手リース会社も環境配慮型商品の開発を進めており、今回の動きに追随する可能性は高い。設備の更新時期を迎えている企業は、ヒートポンプに限らず産業用コンプレッサーや空調設備の入れ替えでも、同様のCO2相殺付きリースが提案されるかを見積もり段階で確認しておくと、複数社の提案を比較しやすくなる。

関連記事

Xで共有 Facebookで共有